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2009年9月27日 (日)

「伊達娘恋緋鹿子」火の見櫓の段 梯子を登る写真

 12月公演「火の見櫓の段」でお七が梯子を登る場面を初めて見ることになりますが、様子を知りたいと思っていたところ、国立劇場の12月公演のページにチラシがアップされ、裏面にお七が梯子を登る写真が掲載されています。

公演情報 詳細|日本芸術文化振興会|12月文楽公演
http://www.ntj.jac.go.jp/performance/3014.html


 それにしても、モノクロでかつ小さいので、手もとの資料を探したところ、水落潔指導・青木信二写真『文楽入門』(淡交ムック、1995年6月初版、2000年6月再版)に、雪の中、急な滑る梯子を踏みしめて登る姿がありました。このムックの写真には、亡くなった方々、現在も活躍されている方々の若いころ、など興味深いものがあります。

 インターネット上で探してみましたが、なかなかないもので、ようやく2008年3月地方公演で「壺坂観音霊験記 沢市内より山の段」とともに上演された際の公演案内にチラシなどがアップされているのを見つけました。

 説明文には、

人形遣いの姿もない舞台の上で、降りしきる雪の中、お七ひとりが罪をいとわず、恋心を胸に火の見櫓を上って行きます。

とあります。

2008年3月22日(土) 江戸川区総合文化センターでの公演案内に、登りはじめの舞台写真を、
http://edogawa-bunkacenter.jp/info/v28.html

同年3月23日(日)鎌倉芸術館の公演案内では、チラシの拡大写真を、
http://kamakura-arts.jp/info/v31.html

それぞれ見ることができました。

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2009年9月15日 (火)

「伊達娘恋緋鹿子」あらすじ

「火の見櫓の段」のみが上演されることが多いのですが、今回は「八百屋内の段」も久しぶりに上演されます。
   
伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)八巻。浄瑠璃。菅専助・二世松田和吉(松田ばくの改名?)・若竹笛躬の合作。角書は「起請方便品書置寿景品」。安永二年(一七七三)四月六日、大阪北堀江豊竹座初演。

【素材】
 西鶴の『好色五人女』などで著名な八百屋お七の事件を浄瑠璃化した先行作、『八百屋お七』(紀海音作)、その改作『潤色江戸紫』(延享元年(一七四四)四月大阪豊竹座初演。為永太郎兵衛ほか作)を、さらに改作したもの。

【あらすじ】
 近江国高島家の若殿左門之助は禁裏へ献上する天国(あまくに)の剣を紛失したため、詮議のために百日間の猶予が与えられた。そのお守役の安森源次兵衛は切腹したが、江戸にいる一子吉三郎といいなずけのお雛とが祝言することで、家を継げることになった。江戸吉祥院の寺小姓になっていた吉三郎は、火事で焼け出されて寺に預けられていた八百屋お七と恋仲であったが、お七は父が再建資金を借りた万屋武兵衛を婿に迎えなければならなかった。
 八百屋の新宅に武兵衛が婿入りする夜は、剣詮議の期限でもあった。吉三郎は左門之助切腹のお供をする覚悟をして、書置を残して去ったが、お七は、その剣を武兵衛が盗み持っていることを知った。吉三郎に届けようとするが、火事以後、夜は町木戸が締められて通行ができない。
 お七は処刑を覚悟で火の見櫓の半鐘を打ち、木戸を開かせた。左門之助は帰参が叶ったが、お七は鈴の森で火刑に処される。

【特色】
 従来の八百屋お七ものと相違し、お七の罪は放火ではなく虚偽の半鐘を打ったこととし、罪を軽くしていることで、文学的緊張を欠くものとなったとの批判があるが、お七がはしごをのぼる演出が生まれ、人形の見せ場として今日でも上演されることが多い。

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「近江源氏先陣館」あらすじ

半ニらしいといえばそのとおりですが、入り組んだ筋書きなのに驚きます。12月公演で上演される段を中心にあらすじを追って見ました。

近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)九段。浄瑠璃。近松半二・八民平七・三好松洛・竹本三郎兵衛ほか合作。となっているが、中心は半二。明和六年(一七六九)十二月九日より大阪竹本座初演。翌七年五月大阪中の芝居で歌舞伎として上演される。

【構想】浄瑠璃・歌舞伎の題材の源である『大阪軍記』『難波戦記』ものの一つで、大阪の陣に材料をとり、徳川と豊臣の対立を源頼朝没後の実朝と頼家の世継争いに仮託して脚色した。徳川は鎌倉方、豊臣は京方となっている。

【あらすじ】
初段―頼朝の三年忌を迎えようとするころ、頼家は頼朝の長男でありながら、妾腹ゆえに将軍職をつぐことができず京都に引き込んでいる。佐々木盛綱は、将軍実朝から近江の国を与えられ、頼家方に備えるよう命ぜられる。

二段目―実朝の母政子と頼家の母宇治の方とが将軍職後継をめぐって言い争う。
三段目―宇治の方は、男を引き入れ色欲に耽ると見せかけ軍師を集める術策で、佐々木四郎高綱(盛綱の弟)を軍師として迎え入れることに成功する。高綱は、大江人道一味の悪事を見破り、人道は追放される。
四段目ー実朝の執権時政は、娘時姫と頼家の政略結婚をもくろむが、姫は京方の三浦之助を慕って京へ向かう。
五段目―塩売に身をやつした三浦之助は、軍師となるべき人物を求め、駕籍かき四斗兵衛(しとべえ)の挙動を探る。
六段目―片岡造酒頭(みきのかみ)は時姫と三浦之助をめあわせる。姫の身代わりとして自分の娘の首を打ち、京方にそむいた罪を感じて切腹する。四斗兵衛実は和田兵衛秀盛は三浦之助に見出され京方の軍師となる。
七段目―京・鎌倉の合戦となり、鎌倉方は時政が石山に、盛綱が比良に陣を敷き、頼家方は坂本城に立て篭もる。合戦の前夜盛綱は敵陣に高綱を訪ねて和睦を求めるが一蹴される。[坂本城外の段]高綱の子小四郎は計略によりわざと盛綱の子小三郎の生け捕りとなる。
八段目―[和田兵衛上使の段]小三郎の功名に盛綱の陣所は沸きかえっているが、老母微妙(みみょう)にとっては、小三郎も小四郎も孫、浮き立つ気持ちではいられない。時政は、大将高綱の息子を捕えたのは強み、大切にせよと、命じる。頼家方の和田兵衛秀盛が、小四郎返還を求める使者としてやってくる。時政から預かった囚人(めしうど)を渡せないと盛綱がはねつけると、和田兵衛は、時政に直談判すると、石山に向かう。
[盛綱陣屋の段]盛綱は、母微妙に、小四郎を切腹させてほしいと頼む。時政の真意は、小四郎を囮(おとり)として高綱を味方につけようとの謀であるとみた盛綱は、高綱が京方に不忠となったり、子ゆえに攻撃が鈍るようなことがないよう、小四郎を切腹させようというのである。小四郎の母篝火(かがりび)はわが子に忍び出よとの矢文を射るが、盛綱の妻早瀬(はやせ)は時節を待てと返し矢で教える。小四郎が密かに逃げようとするところを微妙がとめて切腹を言い聞かす。小四郎は逃げ回る。
 盛綱の陣所へ、京方の将高綱が討たれたというしらせが届き、盛綱は主君時政の面前で弟高綱の首実検をすることになる。盛綱は偽首であることを見抜くが、捕えられていた小四郎は、首をみて「父上」と呼んで切腹する。盛綱はこれをみて、小四郎が父の計略をよくのみこみ、死をもって敵をあざむこうとした心根を察し、首は高綱のものだと証言する。時政は大敵を討ち取ったと安堵して帰陣する。時政を偽った申し訳にと盛綱が切腹しようとすると、和田兵衛が現われ、今切腹すれば、偽首が露見すると止め、鉄砲で時政が恩賞として残した鎧櫃を打ち抜く。中からは時政の忍びのものが転げ出る。二人は戦場での再会を約して別れる。
九段目―頼家の拠点である坂本城が鎌倉方の軍勢に包囲されるが、高綱は計略により敵の大将時政を坂本城内におびき寄せる。高綱・盛綱・三浦之助のはからいで、京・鎌倉の和睦が成立、合戦は終息する。大江人道は討たれる。

【特色】八段目の「盛綱陣屋」の場、俗称「近ハ(きんぱち)」が中心で、浄瑠璃・歌舞伎ともに演出に工夫が重ねられている。なかでも、首実検での盛綱の心理をどのように表わすかが、演技のみどころとなっている。

【人物対照】主な人物についての対照は、北条時政は徳川家康、時姫は千姫、宇治の方は淀君、源頼家は豊臣秀頼、源実朝は徳川秀忠、片岡造酒頭は片岡且元、三浦之助は木村長門守、大江入道は大野修理亮、佐々木守綱は真田信幸、佐々木高綱は真田幸村、和田兵衛は後藤又兵衛となる。

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2009年12月文楽東京公演

 昨年の夏に比較すると、照り輝く太陽が少なく、あまり夏らしくなかった今年でした。東京9月公演が始まりましたが、「沼津の段」ほか、好評のようです。

 さて、12月文楽公演の演目が決まりました。

 いつものことながら、12月公演は中堅若手のみの出演ですが、前回パスした演目と比較的珍しい演目なので、足を運ぶ価値があろうと思います。

 第一の演目、「近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)」は、大坂冬の陣を鎌倉時代に移し変えたもので、「盛綱陣屋」のくだりが有名です。数年に一度上演されていますが、2005年の公演は「伽羅先代萩」を選んだため、私には初めてとなります。

 第二の演目は、八百屋お七を題材にした「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)」で、お七が櫓を登る「火見櫓の段」は、鑑賞教室としてたびたび上演されています。「八百屋内の段」からの上演は、1986年の大阪公演以来のようで珍しいと思います。

【12月文楽公演】
12月文楽公演
公演期間 2009年12月4日(金) ~ 2009年12月16日(水)
開演時間 5時開演
※6日・8日・11日・13日は2時開演(5時35分終演予定)

演目
近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)
   坂本城外の段
   和田兵衛上使の段
   盛綱陣屋の段   
   
伊達娘恋緋鹿子(だてむすめこいのひがのこ)
   八百屋内の段
   火の見櫓の段

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