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2009年9月15日 (火)

「近江源氏先陣館」あらすじ

半ニらしいといえばそのとおりですが、入り組んだ筋書きなのに驚きます。12月公演で上演される段を中心にあらすじを追って見ました。

近江源氏先陣館(おうみげんじせんじんやかた)九段。浄瑠璃。近松半二・八民平七・三好松洛・竹本三郎兵衛ほか合作。となっているが、中心は半二。明和六年(一七六九)十二月九日より大阪竹本座初演。翌七年五月大阪中の芝居で歌舞伎として上演される。

【構想】浄瑠璃・歌舞伎の題材の源である『大阪軍記』『難波戦記』ものの一つで、大阪の陣に材料をとり、徳川と豊臣の対立を源頼朝没後の実朝と頼家の世継争いに仮託して脚色した。徳川は鎌倉方、豊臣は京方となっている。

【あらすじ】
初段―頼朝の三年忌を迎えようとするころ、頼家は頼朝の長男でありながら、妾腹ゆえに将軍職をつぐことができず京都に引き込んでいる。佐々木盛綱は、将軍実朝から近江の国を与えられ、頼家方に備えるよう命ぜられる。

二段目―実朝の母政子と頼家の母宇治の方とが将軍職後継をめぐって言い争う。
三段目―宇治の方は、男を引き入れ色欲に耽ると見せかけ軍師を集める術策で、佐々木四郎高綱(盛綱の弟)を軍師として迎え入れることに成功する。高綱は、大江人道一味の悪事を見破り、人道は追放される。
四段目ー実朝の執権時政は、娘時姫と頼家の政略結婚をもくろむが、姫は京方の三浦之助を慕って京へ向かう。
五段目―塩売に身をやつした三浦之助は、軍師となるべき人物を求め、駕籍かき四斗兵衛(しとべえ)の挙動を探る。
六段目―片岡造酒頭(みきのかみ)は時姫と三浦之助をめあわせる。姫の身代わりとして自分の娘の首を打ち、京方にそむいた罪を感じて切腹する。四斗兵衛実は和田兵衛秀盛は三浦之助に見出され京方の軍師となる。
七段目―京・鎌倉の合戦となり、鎌倉方は時政が石山に、盛綱が比良に陣を敷き、頼家方は坂本城に立て篭もる。合戦の前夜盛綱は敵陣に高綱を訪ねて和睦を求めるが一蹴される。[坂本城外の段]高綱の子小四郎は計略によりわざと盛綱の子小三郎の生け捕りとなる。
八段目―[和田兵衛上使の段]小三郎の功名に盛綱の陣所は沸きかえっているが、老母微妙(みみょう)にとっては、小三郎も小四郎も孫、浮き立つ気持ちではいられない。時政は、大将高綱の息子を捕えたのは強み、大切にせよと、命じる。頼家方の和田兵衛秀盛が、小四郎返還を求める使者としてやってくる。時政から預かった囚人(めしうど)を渡せないと盛綱がはねつけると、和田兵衛は、時政に直談判すると、石山に向かう。
[盛綱陣屋の段]盛綱は、母微妙に、小四郎を切腹させてほしいと頼む。時政の真意は、小四郎を囮(おとり)として高綱を味方につけようとの謀であるとみた盛綱は、高綱が京方に不忠となったり、子ゆえに攻撃が鈍るようなことがないよう、小四郎を切腹させようというのである。小四郎の母篝火(かがりび)はわが子に忍び出よとの矢文を射るが、盛綱の妻早瀬(はやせ)は時節を待てと返し矢で教える。小四郎が密かに逃げようとするところを微妙がとめて切腹を言い聞かす。小四郎は逃げ回る。
 盛綱の陣所へ、京方の将高綱が討たれたというしらせが届き、盛綱は主君時政の面前で弟高綱の首実検をすることになる。盛綱は偽首であることを見抜くが、捕えられていた小四郎は、首をみて「父上」と呼んで切腹する。盛綱はこれをみて、小四郎が父の計略をよくのみこみ、死をもって敵をあざむこうとした心根を察し、首は高綱のものだと証言する。時政は大敵を討ち取ったと安堵して帰陣する。時政を偽った申し訳にと盛綱が切腹しようとすると、和田兵衛が現われ、今切腹すれば、偽首が露見すると止め、鉄砲で時政が恩賞として残した鎧櫃を打ち抜く。中からは時政の忍びのものが転げ出る。二人は戦場での再会を約して別れる。
九段目―頼家の拠点である坂本城が鎌倉方の軍勢に包囲されるが、高綱は計略により敵の大将時政を坂本城内におびき寄せる。高綱・盛綱・三浦之助のはからいで、京・鎌倉の和睦が成立、合戦は終息する。大江人道は討たれる。

【特色】八段目の「盛綱陣屋」の場、俗称「近ハ(きんぱち)」が中心で、浄瑠璃・歌舞伎ともに演出に工夫が重ねられている。なかでも、首実検での盛綱の心理をどのように表わすかが、演技のみどころとなっている。

【人物対照】主な人物についての対照は、北条時政は徳川家康、時姫は千姫、宇治の方は淀君、源頼家は豊臣秀頼、源実朝は徳川秀忠、片岡造酒頭は片岡且元、三浦之助は木村長門守、大江入道は大野修理亮、佐々木守綱は真田信幸、佐々木高綱は真田幸村、和田兵衛は後藤又兵衛となる。

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