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2010年2月 9日 (火)

「新版歌祭文」あらすじ

新版歌祭文(しんぱんうたざいもん)

 二巻。近松半二作。角書「お染久松」。安永9年(1780年)9月大阪竹本座初演。油屋お染と丁稚久松の心中事件を題材とし戯曲化した中で、最も著名な作品。歌舞伎『心中鬼門角』(宝永7年(1710))、浄瑠璃『お染久松袂の白しぼり』(宝永7年、紀海音作)『染模様妹背門松』(明和4年(1767)菅専助作)などのお染久松物の影響下に成立するが、野崎村は半次の創案に成る。
 歌祭文は江戸時代の俗曲の一つで、心中事件などを、節おもしろく唄い、その文句を売り歩いたもので、タイトルはその新しい版の意。
【あらすじ】上の巻 「座摩社(ざまやしろ)の段」「野崎村の段」下の巻 「長町の段」「油屋の段」
からなる。
 大坂油屋の娘お染と丁稚久松は恋仲で、お染の山家屋佐四郎との縁談に心を痛めている。久松は座摩社で油屋の下人小助・浪人鈴木弥忠太・だはの勘六らに謀られ、受取金を騙し取られた科で、野崎村の養父久作の許に戻される。
 久松はもと和泉国石津の家中相良丈太夫の子息で、父はお家の宝刀吉光を紛失した科で切腹、乳母お庄の兄久作に養育された身である。
 久作は財産を処分して騙し取られた金を弁償する。久作は、かねてから久松と女房の連れ子おみつを夫婦にすることを考えていたが、久松を引き取って祝言をあげることにする。祝言の支度に忙しいおみつの前に、お染が久松を追って現れる。久松はお染に別れ話を持ち出すが、お染は死を覚悟していて、久松も共に死ぬことを決意する。二人の覚悟を知り、おみつは久松への恋を諦め、尼になって身を引く。
 周囲の人々の心尽くしに死を断念する二人の前に、お染の母お勝が現れ、弁償金を戻し、お染と久松に時節を待てと諭すが、世間を憚って、お染は母と舟で、久松は駕籠で大坂へ帰っていく。[上の巻]
 油屋へ戻った久松に、小助・弥忠太・勘六らは山家屋からの結納金を盗み、その嫌疑を塗り付けようとするが、その場をお庄に救われる。小助一味の勘六は、お庄が自分の母親と知って改心し、お庄とともに久松の父が弥忠太に盗まれた吉光を取り戻して久松を本国に帰参させようとする。お染の母はお染に、久松のためにも山家屋へ嫁入りするよう意見する。質屋から取り戻した吉光の刀は偽物であったが、勘六が弥忠太から吉光を取り戻す。そうとは知らず、お染と久松は油屋の蔵の内と外で心中する。[下巻]
【上演】野崎村の段が有名で、歌舞伎でもしばしば上演される。文楽では通しでも演じられる。

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